「日本の統計の祖」といえば、明治初めに初の総合統計書を編んだ杉亨二(すぎ・こうじ)である。ただ当人は「統計」は西欧の「スタチスチック」の訳語として不適当と主張したから、この呼び名は不本意かもしれない▲「統計」は本来、合計を意味するだけだったからという。杉は原語の「スタチスチック」を漢字で表記するために、「ス=寸」「タ=多」「チ=知」「ク=久」を組み合わせた創作漢字まで作った。統計の祖に恥じない厳密さである▲杉は「物の数を並べさえすれば之(これ)を統計とする無責任なる統計の作成は許されない」と作成者の責任を強調する言葉を残している。では建設業者の受注額の一部を二重に計上したこのケースは、杉だったらどのように評しただろうか▲国の基幹統計「建設工事受注動態統計」で、国土交通省が業者の提出した調査票の書き換えを都道府県に指示して行っていたという。業者の調査票提出が遅れた場合に推計値と報告値を合算していたもので、結果、二重計上となった▲まさか統計とは合計だ、と明治の論議をむし返したのではなかろう。この方式になった8年前から建設工事受注では実態を上回る数値がまかり通ってきたことになる。うたぐり深い方の中にはその政治的意図をかんぐる向きもあろう▲「うそは3種類ある。うそ、大うそ、そして統計だ」。英政治家ディズレーリの言葉といわれるが、出典は不明だ。「統計の祖」が聞けば怒るだろうが、世の統計不信をつのらせる「無責任」にはもっと激怒しよう。
毎日新聞・余禄・2021/12/16

※今日も朝から国交省による基幹統計書き換え問題
誤った経済見通しになっているのではないかと国会で問題になっています。
国による調査票の書き換えや廃棄の問題、意図的なのか単なる間違いなのか・・何か国や官僚の仕事に不信感が募るばかりです。
建設工事受注動態統計調査
統計法に基づく基幹統計調査の一つ。建設業者の受注動向を把握し、経済・社会施策の基礎資料としている。2020年度の受注高は総額で79兆5988億円となり、月例経済報告など。国の景況判断の指標としても活用されている。業者の規模別に計約1万2千業者を抽出し毎月、公共工事や民間の工事受注高の回答を求めている。調査票は都道府県が取りまとめて回収。国土交通省が集計する。結果は建設業者全体の推計として公表している。
毎日新聞・余禄・2021/12/16

※今日も朝から国交省による基幹統計書き換え問題
誤った経済見通しになっているのではないかと国会で問題になっています。
国による調査票の書き換えや廃棄の問題、意図的なのか単なる間違いなのか・・何か国や官僚の仕事に不信感が募るばかりです。
建設工事受注動態統計調査
統計法に基づく基幹統計調査の一つ。建設業者の受注動向を把握し、経済・社会施策の基礎資料としている。2020年度の受注高は総額で79兆5988億円となり、月例経済報告など。国の景況判断の指標としても活用されている。業者の規模別に計約1万2千業者を抽出し毎月、公共工事や民間の工事受注高の回答を求めている。調査票は都道府県が取りまとめて回収。国土交通省が集計する。結果は建設業者全体の推計として公表している。