「更迭」を最新版の広辞苑で引くと「役目や職についている人がかわること。また、かえること」とある。他の辞書も大同小異である。これでは政治報道でよく使われる「事実上の更迭」の意味が伝わらない。なぜ、事実上をつける必要があるのか▲三省堂国語辞典の説明がわかりやすい。「責任を取らせるため、その職にある人を代えること」で「戦前は、単に交代させる意味でも使った」とある。戦後に引責の意味が加わったという解釈である▲世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が指摘されてきた山際大志郎(やまぎわ・だいしろう)経済再生担当相の辞任も「事実上の更迭」と報じられた。本人の立場を尊重して自発的辞任の形を取ったが、実態は岸田文雄首相の要請というわけだ▲8月の内閣改造で留任後に関連団体主催のイベント出席などを明かし、「後出しジャンケン」と皮肉られた。その後も接点を指摘されるたびに不可思議な記憶に基づく釈明と追認を繰り返してきた。国会は重要法案の審議に入る。首相もこれでは持たないと判断したのだろう▲首相の看板政策である「新しい資本主義」や新型コロナ対策を担う主要閣僚である。「後出しジャンケン」がわかった時点で更迭する選択もあったのではないか。2カ月余りも判断を先送りしてきた結果、支持率は大きく下落した▲首相は「任命責任を重く受け止めている」と語ったが、どこか人ごとのようである。「事実上の更迭」であっても責任があいまいになるわけではないことをお忘れなく。
毎日新聞余禄 2022・10・26(水)

日銀総裁も馬鹿だし総理も鈍臭い、政府の頭がボケていると国民はたまったものではない。
毎日新聞余禄 2022・10・26(水)

日銀総裁も馬鹿だし総理も鈍臭い、政府の頭がボケていると国民はたまったものではない。