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Posted by おてもやん at
 緑の木々に覆われた深い山あいにその寺はあった。水戸市から車で北に1時間。茨城県大子町の本覚寺を訪ねた。お堂の白壁がはがれ落ち、長くひとの手が入っていないことが一目で分かる。瓦屋根はぐにゃりとたわんでいた▼寺ができたのは1980年代だった。「水子の霊がついている」と言って信者を増やし、「霊視商法」と呼ばれる悪質な手口で莫大(ばくだい)な金を集めた。訴訟が相次ぐと、和歌山県にあった寺を買収して看板をすげ替える。それが2002年に違法行為で解散を命じられた明覚寺である▼全国には18万の宗教法人があるが、法令違反での解散命令は2例だけ。オウム真理教とこの明覚寺だ。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)はそれに続く3例目となるのだろうか。きのうようやく、岸田首相が宗教法人法に基づく調査を始める考えを示した▼権力が宗教に介入することは常に慎重に議論されるべきだろう。だが、あまりにも多くの苦しみと悲しみが私たちの目の前にある。教団は訴えに向き合っているように見えない▼先日開かれた元2世信者の女性の記者会見では、彼女を中傷するファクスを送りつけ、会見中止を求めた。何とも異様である。「どうかこの団体を解散させてください」。女性の涙ながらの訴えに、心が揺さぶられた▼旧統一教会と明覚寺への政府の対応をここまで隔ててきたのは何だったのか。廃虚となった寺の前で考える。キューン。獣か鳥か。不気味な鳴き声が、誰もいない山中に響いた。
朝日新聞天声人語 2022/10/18(火)

  


Posted by マー君 at 13:59Comments(0)日記