4月20日(金)~6月3日(日)まで八代史市立博物館で平成30年度春季特別展覧会「能面乱舞」、八代城主松井家伝来能楽コレクションが開催されています。
今日はその特別講演会として博物館の館長をされています松井葵之(みちゆき)さんが「松井家と能」というテーマでお話になりました。
葵之さんは時代が時代であればこの八代を預かる立派な殿さまでした。
今日はその殿様がお話になられる能の話とあってお能関係の方々や松井家に関係される方々の聴講が多いように思われました。
松井家は、清和源氏の庶流で、足利家の被官以降、江戸時代を通して大名細川家の首席家老をつとめ、京都は松井郷(京田辺市)を振り出しに、勝龍寺城(長岡京市)、久美城(京丹後市)、九州は木付城(杵築市)、小倉城(北九州市)を経て熊本城(熊本市)の順に主君に奉じて移動します。
その後、生保3年(1646)から明治3年(1870)にかけて、肥後細川藩の支城である八代城を預かった家です。
松井家には武器、武具、書画、能面、能装束、古文書など、大名家並みの質と量を誇る文化財が伝来しています。
これらの松井家の伝来品は一般財団法人松井文庫が所蔵し管理を行っています。
松井文庫は先人たちが守り伝えた文化財を将来に伝えたいという13代当主明之によって昭和59年(1984)に設立されました。
今日の館長の話には能面や能装束などの展示品についての詳しい話はありませんでしたが、松井家に生まれて今日までの生活を通しての思い出話を中心に松井家の能楽の話をされました。
能の稽古が苦手だったことや、松井家の能楽堂が博物館の駐車場あたりにあったこと、その能楽堂が水前寺公園の出水神社能舞台として移設された事、そして能楽堂の瓦は細川家の家紋ではなく松井家の家紋が使われている事、また代々松井家にに伝わってきた能楽が、現在は松井葵之さんの妹、松井笙子(しょうこ)本名立花笙子さんが能楽協会のシテ方(主役)を務める能楽師として活躍されていることなど、その他にも総理大臣を務めた細川護熙さんとはいとこ同士であったことなど色んなことをお話になられました。
松井家は〝先祖が大事にしてきたものは決して粗末にしてはならない〟との教えを大切に守り抜いてきた事が能面108面、能装束300点余りの品々は質、量ともに、全国屈指の作品群として評価されています。
この展覧会の特別公演は28日の土曜日にもその弐「松井文庫の能面・能装束」という話を本館上席学芸員・山崎摂さんが10時30分から話をされます。
是非来館してください。
松井文庫に納められている貴重な品々は八代の宝です。
聴講は無料です。