2022年08月19日

海水浴のお話

海に囲まれたこの国で、海水浴が始まったのは明治になってからだ。それまで海は、多くの人にとってそれほどなじみ深い場所ではなかった。漁師や船乗りが生活の糧を得る場であり、ときに海賊の跋扈(ばっこ)する場であったと畔柳(くろやなぎ)昭雄著『海水浴と日本人』にある▼当初の海水浴は、西洋医学にもとづく健康法であり、医療行為だった。身体を波にさらすことを目的にしていた。海水浴の読み方も「カイスイヨク」ではなく、「ウミミズユアミ」だったという▼時が流れて、泳ぐことを楽しむようになると、水の事故とも背中合わせになる。あまりにも暑い日が続いたこの夏も、不幸な事故が目立っている。幼い子どもの命が奪われたというニュースは、とりわけつらい▼近くに水難救助員がいるかどうかを確かめ、さらにはライフジャケットを着用するよう求める声もある。海での着用はまだ途上だが、川遊びではそれなりに進んでいるようだ。流れが速く、急に深くなる川の怖さは、いくら注意してもしすぎることはない▼海水浴と違い、川遊びはこの国で昔から行われてきた。各地にあるかっぱ伝説も関係があるのだろう。「水中にいるかっぱに、引っ張り込まれる」という恐ろしい言い伝えが、多くの事故を未然に防いできたのかもしれない▼〈汐浴(しおあび)の帽子大きく休み居る〉篠原温亭。十分に休んで、疲れをとる。それも事故を防ぐこつであろう。子どもたちの夏休みも終盤となる。水辺の楽しさは、いい思い出にして持ち帰りたい。
朝日新聞天声人語 2022/08/19
海水浴のお話
海水浴のお話

◆潮浴(しおあみ/しおあび)


そもそもは
病の治療や禊のためにする海水浴のことで、
潮ごり、潮湯治(しおとうじ)とも言われる。
源実朝、鴨長明なども
この海水医法によって
病を治したと言われている。
また、泳ぐのではなく、
海岸に行って
海からの風に浴して癒す
「海気浴」もある。
呼吸のリズムにも似た波の音を聴きながら
潮風にあたり、
リラックスすることで
心身の健康を取り戻すもの。
ちなみに、
水着を着て海水浴を楽しむようになったのは
明治以後のことと言われている。

※禊とは・・

[みそぎ, みそぎ]
名詞
海や川の水で体を清め,罪や穢けがれを洗い流すこと。
特に陰暦六月晦日みそか,夏越なごしの祓はらえの神事をいう。〔夏禰宜ひとり―するなる野河かな几董〕
"禰宜ひとりみそぎするなる野河かな / 几董"


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Posted by マー君 at 10:02│Comments(0)季節
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