

イタリア・ナポリには余裕のある人がカフェで1杯分多くコーヒー代を支払う伝統があるそうだ。「カフェ・ソスペーゾ」。誰かのために保留してあるコーヒーという意味で、お金に困った人がそのコーヒーを飲める▲貧困問題への関心の高まりから、その伝統が世界各国に広まった。英語では「サスペンデッド・コーヒー」。コロナ禍で、食事代を負担する「サスペンデッド・ミール」の動きも出ている▲米国には一般家庭で余った食品を集め、困窮世帯に還元する「フードドライブ」の習慣がある。日本でもNGOやスーパーなどが協力し、その普及を目指す動きが進む。年間600万トンを超える食品ロスの削減にもつながる試みだ▲そんな他者への思いやりや「もったいない」精神がまるで感じられない。東京オリンピック組織委員会が開会式で余った関係者用の弁当4000食分などを大量に廃棄していた問題だ▲TBSテレビに告発した関係者は「コロナ禍で困っている人たちもいる。廃棄せずにすむ方法を考えてほしかった」と語っていた。真夏で食中毒の心配もある。簡単には流用できないだろうが、何か方策がなかったか▲東京五輪は国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への配慮をうたう。食品ロス削減は重要な柱だ。人工知能(AI)で需要を予測し、ロスを減らす技術の開発も進む。用意した約1万食分の4割も無駄にするようでは、世界最高水準の技術を運営に活用するという大会ビジョンがうつろに聞こえる。
毎日新聞 2021/7/30 余禄
※オリンピックに選ばれた日本選手たちは日毎に蔓延拡大するコロナ禍の中で各種目とも驚くほどの成績を残している。それに反して組織委員会から出てくるニュースは目を塞ぎたいくらいの出鱈目な話ばかり。何故なんだろう?・・・