2018年09月21日

月と日本人の心

今日の読売新聞【くらし】欄に編集委員の斎藤雄介さんがちょっと気になる記事を書かれていましたので紹介します。
というのはお月さんの話から日本人の心の奥底に潜む不可思議なものへの探求を神話や民話などからそっと触れ、日本人の生い立ちにまで繫げて行くところには感心させられました。

暦めくり・・月をめでる日本人
今年は24日が旧暦の8月15日(十五夜)にあたり、仲秋の名月となる。「このような月を眺めていると、おびただしく湧き出てくる感情で、魂は満たされるものです。私たち日本人は非常に月を愛します」
ロシア人の民俗学者、ニコライ・ネフスキーはシベリア・バイカル湖畔の駅で出会った日本人にこう話しかけられたという。空には月が輝き、ロシアの大地を照らしていた。
ネフスキーは著書「月と不死」の中で、日本人が月を愛する一方で、日本人の神話に月の影が薄いことに疑問を投げかけている。古事記には夜の支配者、ツクヨミはほとんど登場しない。
ネフスキーが採取した沖縄の民話によると、月の神様は人間に不死の水を与えようとした。しかし、蛇が不死の水を浴びてしまったため、人間には死の水が与えられた。蛇は脱皮して生まれ変わるようになり、人間は死ぬべき定めとなってしまった。月は、新月となって姿を消し、再び現れる不死の存在であり、同時に死をつかさどる者であった。「月の顔を見るのは忌むこと」という言葉が竹取物語るや源氏物語にも出てくる。古代の日本人にはむしろ月を恐れる気持ちもあったのかも知れない。
仲秋の名月をめでるのは、中国から来た習わしだが、芋名月といってサトイモを供えるのは日本独自の要素である。日本列島に米が入ってくる前、サトイモが主食だったころの名残だという説もある。サトイモは東南アジアで広く利用されているタロイモと同類だ。きぬかつぎにして、塩をかけて食べるとねっとりとうまい。
九州では、なぜか十五夜に綱引きをするところがあるが、この習わしは朝鮮半島にもある。月を見ていると、日本人がどこから来たのか想像してしまう。
月と日本人の心

● ニコライ・ネフスキー
ぺテルブルグ大(現レニングラード大)で日本語と中国語を修め、1915年に23歳で日本へ留学。柳田国男や金田一京助、折口信夫らに師事し、14年間にわたってアイヌ文化や沖縄地方の方言などの研究に努めた。
とりわけアイヌ文化の研究では、アイヌ語の修得のほか、メノコユカラ(女が語る叙事詩)やウウェぺケレ(昔話)、ウパシクマ(言い伝え)など膨大な数のロシア語訳をのこし、その論文集は『アイヌのフォークロア(民俗)』の題名で1972年にソ連で出版された。
1929年、中世中国の西夏話を研究するために[研究資料の豊富なソ連へ]と単身帰国し、レニングラード大教授に。4年後、妻の萬谷イソと一人娘のエレーナ・ニコラエブナ・ネフスカヤ[愛称ネリ]を呼び寄せたが、「スターリン大粛清」に巻き込まれ、37年10月、国家反逆罪の疑いで夫婦とも相次いで逮捕され、レニングラードのKGB本部で同じ日(1937年11月24日)に銃殺された。フルシチョフ時代に名誉が回復され、1962年にレーニン賞が授与された。


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Posted by マー君 at 11:04│Comments(0)記事
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