2016年09月08日

地震考古学

8/7、読売新聞文化歴史面に「遺跡が語る震災」シリーズが登場しました。歴史上、日本列島を襲った地震の痕跡が、遺跡の発掘調査でしばしば見つかっている。現在にどんな教訓を伝えているのか5回にわたって探っていくというお話です。熊本県阿蘇市狩尾小野原にある弥生時代の集落跡の遺跡に地震による大規模な断層が約30mにわたって確認された。水平方向のずれは約20センチ、垂直方向のずれは約120センチにも及んでいる。今回の地震と似た地割れを引き起こした地震が約2000年前にも起きていることが分かった。この遺跡の調査は2000・7・5~2004・10・12まで黒川広域基幹河川改修事業に伴う埋蔵文化財調査として行われました。記事は独立行政法人産業技術総合研究所の地震考古学者で東北大学出身の寒川 旭 (サンガワ アキラ )さんの研究資料を基に書かれています。「阿蘇山の周辺は小さな活断層が数多く走っている。遺跡で発見された地割れは、相当な規模の地震がいつ起きてもおかしくない、という警鐘だ」と指摘しています。
地震考古学
発掘調査で確認された小野原A 遺跡の地割れ(熊本県教育委員会提供)

◇熊本を襲った地震の歴史で、寒川さんが特に注目しているのが平安時代の歴史書「日本三代実録」の貞観11年(869年)の記述だ。時の清和天皇が伊勢神宮に告げた文として「肥後国(熊本県)で地震風水害があった。舎宅(家屋)がことごとく仆れ顛り、人民の多くが流亡した」と記されている。寒川さんは、「最近数十年の地震活動とよく似ているのが9世紀」という。9世紀の日本では、大地震が続き、律令国家を揺るがせた。
830年出羽北部(秋田県)、841年信濃(長野県)・伊豆(静岡県)、850年出羽南部(山形県)、868年播磨(兵庫県)、869年には、東北地方を大津波が襲った貞観地震が発生した。そして、887年、南海トラフ周辺で仁和地震が起きている。
9世紀と、現代の最近50年の主な地震の発生場所を地図で見比べると、傾向がよく似ていることがわかる。寒川さんは「熊本地震の後には、南海トラフの巨大地震が控えている。南海トラフ地震が、近い将来に起きる前提で備えが必要だ」と話す。
◇歴史上の地震のすべてが、歴史書や古文書などの文献に記録されているわけではない。記録があってもごく簡単な記述も多い。だからこそ、小野原A遺跡のように発掘で見つかる地震の痕跡は、災害の生々しい証拠として貴重だ。ただ、考古学の中で災害が注目されるようになったのは、比較的最近のこと。寒川さんが「地震考古学」を提唱したのが1988年だ。
地震考古学                   (寒川旭さんによる図を基に作成)
地震考古学
「平成28年熊本地震」震度1以上の地震回数
4/14ー4/30 (回数)1093 (累計)1093
5/1 -5/31      520     1613
6/1 -6/30      214     1827
7/1 -7/31      114     1941
8/1 -8/31      109     2050
9/1             5     2055
9/2             2     2057 
9/3             4     2061
9/4             5     2066
9/5             2     2068
9/6             2     2070
9/7             7     2077



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Posted by マー君 at 08:59│Comments(0)熊本
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