お盆も真近だというのに、国民をどれだけ混乱させれば気が済むのか!日本国中でコロナ感染患者が急増しています。でも感染患者を減らす対策は打たれていません。こんな折、国会は閉めたままである。
昨日の毎日新聞余禄にこんな記事がありました。
望郷の詩句として名高い室生犀星(むろうさいせい)の「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」である。実はこれ、遠方にあって故郷を思う歌ではなく、犀星が郷里の金沢に帰郷したおりに作られた詩という▲東京で思うにまかせぬ暮らしを強いられ、懐かしい故郷に帰っても温かく受け入れてもらえない。その悲哀、郷里への愛憎半ばする思いが「遠きにありて……」の言葉となったらしい。故郷とは時に複雑な思いを呼び起こす場所である▲遠きにありて思うか、帰って父母や旧友と親しむか。思いは千々(ちぢ)に乱れる今夏のお盆となる。全国的なコロナ感染拡大局面で迎えた帰省シーズンである。思いが乱れるのは、政府の説明や情報が要領を得ず、判断の基準に迷うからだ▲帰省の是非について高齢者への感染を懸念するコロナ担当の閣僚と、Go Toトラベルを推進する官房長官とで足並みが乱れていた政府である。専門家の提言を受けての政府の姿勢は結局、国民各自の判断にまかせるものとなった▲「帰省」とは郷里に帰り、父母の安否をうかがうことが本来の意味という。高齢の父母や縁者の感染・重症化のリスクをまず初めに考えるのは当然であろう。感染が広がればすぐに危機に陥る地方の医療事情も心にとめねばならない▲人と故郷の事情は千差万別だから、「遠きにありて」を「悲しくうたふ」人ばかりとは限らない。遠く隔たっていても一緒に楽しく歌えるオンライン時代の「帰省」に工夫をこらすお盆も悪くなかろう。
毎日新聞2020年8月7日 東京朝刊 余禄

室生犀星(読み)むろう さいせい.(1889―1962)
詩人,小説家。本名照道。私生児として石川県金沢に生まれ,僧室生真乗の養子となった。給仕,新聞記者を転々としながら詩を作り,萩原朔太郎を知ってともに1916年詩誌《感情》を創刊。1918年《愛の詩集》《抒情小曲集》を出し,新進詩人として認められた。翌年,独特の感覚的表現を用いた自伝風の小説《幼年時代》《性に眼覚める頃》で散文の世界に入り,《あにいもうと》《女の図》などを書いた。第2次大戦後に《杏っ子(あんずっこ)》や,王朝ものの《かげろふの日記遺文》,評伝《我が愛する詩人の伝記》など。
昨日の毎日新聞余禄にこんな記事がありました。
望郷の詩句として名高い室生犀星(むろうさいせい)の「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」である。実はこれ、遠方にあって故郷を思う歌ではなく、犀星が郷里の金沢に帰郷したおりに作られた詩という▲東京で思うにまかせぬ暮らしを強いられ、懐かしい故郷に帰っても温かく受け入れてもらえない。その悲哀、郷里への愛憎半ばする思いが「遠きにありて……」の言葉となったらしい。故郷とは時に複雑な思いを呼び起こす場所である▲遠きにありて思うか、帰って父母や旧友と親しむか。思いは千々(ちぢ)に乱れる今夏のお盆となる。全国的なコロナ感染拡大局面で迎えた帰省シーズンである。思いが乱れるのは、政府の説明や情報が要領を得ず、判断の基準に迷うからだ▲帰省の是非について高齢者への感染を懸念するコロナ担当の閣僚と、Go Toトラベルを推進する官房長官とで足並みが乱れていた政府である。専門家の提言を受けての政府の姿勢は結局、国民各自の判断にまかせるものとなった▲「帰省」とは郷里に帰り、父母の安否をうかがうことが本来の意味という。高齢の父母や縁者の感染・重症化のリスクをまず初めに考えるのは当然であろう。感染が広がればすぐに危機に陥る地方の医療事情も心にとめねばならない▲人と故郷の事情は千差万別だから、「遠きにありて」を「悲しくうたふ」人ばかりとは限らない。遠く隔たっていても一緒に楽しく歌えるオンライン時代の「帰省」に工夫をこらすお盆も悪くなかろう。
毎日新聞2020年8月7日 東京朝刊 余禄

室生犀星(読み)むろう さいせい.(1889―1962)
詩人,小説家。本名照道。私生児として石川県金沢に生まれ,僧室生真乗の養子となった。給仕,新聞記者を転々としながら詩を作り,萩原朔太郎を知ってともに1916年詩誌《感情》を創刊。1918年《愛の詩集》《抒情小曲集》を出し,新進詩人として認められた。翌年,独特の感覚的表現を用いた自伝風の小説《幼年時代》《性に眼覚める頃》で散文の世界に入り,《あにいもうと》《女の図》などを書いた。第2次大戦後に《杏っ子(あんずっこ)》や,王朝ものの《かげろふの日記遺文》,評伝《我が愛する詩人の伝記》など。