戦前の「銀行王」といわれた安田財閥創設者、安田善次郎が神奈川県大磯町の別荘で凶刃に倒れたのは1921(大正10)年9月28日だった。犯行に及んだ暴漢は自殺し、それから1カ月後、今度は原敬首相の暗殺事件が東京駅頭で起きた。昭和に連なる戦前テロリズムの中で日本は転落していく▲そんな暗い時代すら想起させる、身の毛もよだつ暴挙である。参院選の遊説のため、奈良市を訪れていた安倍晋三元首相が演説中に銃撃され亡くなった。海上自衛隊に勤務した経験を持つ41歳の男が現行犯逮捕された。背後から銃で襲うという、卑劣極まりない凶行である▲戦後もテロは社会に影を落としてきた。60年、社会党の浅沼稲次郎委員長が演説中、右翼少年に刺殺された。2007年には伊藤一長長崎市長が暴力団員に射殺されている▲安倍氏は歴代最長の首相経験者で、自民党の最大派閥を率いる実力者だった。多くの政党幹部がきのう遊説を中断した。突然の蛮行が政治と社会に与えた衝撃ははかりしれない▲動機や、銃の所持経緯の徹底解明が必要なのは当然である。要人警備のあり方も検証すべきだろう。最も恐れるべきは、この事件がきっかけで政治的発言を手控える風潮が広がることだ。そうなれば、まさに民主主義の危機である▲戦前テロの連鎖をメディアは食い止めることができなかった。政治活動や言論を封殺する暴力を決して許してはならない。安田氏襲撃から101年を経ての凶弾に向き合う、私たちの決意だ。
毎日新聞余禄 2022/07/09

背後7~8mに迫る男、誰も止めず…白煙上げ「ドーン」安倍元首相は振り返っ
※何故、国政選挙の中で銃を持っての殺人事件が簡単に置き得たのかあまりにも警備そのものがずさんであった様にも思えます。
事件そのものを振り返って街頭演説の警備について検証し直して貰いたい。
毎日新聞余禄 2022/07/09

背後7~8mに迫る男、誰も止めず…白煙上げ「ドーン」安倍元首相は振り返っ
※何故、国政選挙の中で銃を持っての殺人事件が簡単に置き得たのかあまりにも警備そのものがずさんであった様にも思えます。
事件そのものを振り返って街頭演説の警備について検証し直して貰いたい。