


西日本新聞・春秋による説明と応援
「破天荒」な手腕を振るえるか
中国・唐の時代、荊州(けいしゅう)では官吏登用試験・科挙の合格者が100年以上出なかったので、未開の地を意味する「天荒」と呼ばれた。ある年、劉蛻(りゅうぜい)という人が難関を突破。天荒を破った、破天荒だ、とたたえられた▼「誰もできなかったことを成し遂げること」「未曽有のこと」を「破天荒」と言う由来だ。一方で「豪快で大胆な様子」との誤用も広まった。文化庁の調査では約3分の2の人が意味を間違えていたという▼新型コロナ対策と日常生活の両立という「破天荒」なかじ取り。新しいリーダーは国民の期待に応えられようか。事実上、次の首相を決める自民党総裁選で、岸田文雄前政調会長が難関を突破した▼民意に近いとされる党員票は、河野太郎行政改革担当相に集まった。だが、議員票が左右する決選投票は、岸田氏が圧倒。結果として、自民党は「急進」よりも「安定」を選んだ。その裏側には、各派閥の損得勘定と、影響力の維持を狙う実力者らの思惑が透ける▼前政権が失った国民の信頼をどう取り戻すか-。それも岸田氏が避けて通れない課題だ。疑惑がくすぶる「もり・かけ・桜」問題。相次ぐ政治とカネを巡る不祥事。誠実に説明することの大切さは言うまでもない▼派閥や実力者への「借り」は、岸田氏が掲げる政治改革の足かせにならないか。豪快で大胆に“破天荒”な手腕を振るってほしい。国民はそれを「誤用」とは言うまい。