日銀の役割について
「人事の岸田」を自任する首相だが、先の内閣改造は自民党内事情を優先した結果、支持率を急落させる墓穴を掘った。市場が注目するもう一つの重要人事に抜かりはないだろうか▲来年4月に任期が切れる日銀総裁の後継選びである。在任期間が歴代最長となった黒田東彦総裁はこの10年近く、アベノミクス推進の先兵として国債を大量に買い入れる異次元緩和策を続けてきた▲今や、保有する国債は発行残高の5割を超え、日銀自身がかつて「コントロールできない」と言明していた長期金利の操作にまで踏み込んだ。上場株式を組み込んだ投資信託も大量に抱え、日本最大の株主だ▲これほど何でもありの政策を展開しながら、目標に掲げた賃上げを伴う「良い物価上昇」を実現できていない。最近は、欧米の中央銀行がインフレ退治で利上げを加速させる中、日銀だけが緩和継続に固執しているために急激な円安を引き起こした。生活必需品の相次ぐ値上げを招き、「悪い物価上昇」が問題視されている▲黒田氏は「粘り強く緩和を続けることが日本経済にとってプラス」と力説するが、専門家は「大規模かつ長期の緩和で市場への影響力を持ち過ぎたため、国の財政への影響や相場の混乱を恐れて動けないだけでは」とも指摘する▲日銀が思考停止に陥っては、インフレや景気後退に対処できなくなる。次期総裁には虚心坦懐(たんかい)に異次元緩和を検証し、政策を果断に修正する覚悟と力量が求められる。今度の人事ばかりは、しくじれない。
毎日新聞余禄 2022/08/30(火)
●日本銀行の役割
日本銀行は「日銀(にちぎん)」などとも呼ばれ、わが国の中央銀行として重要な役割を担っています。大きくは①お札(日本銀行券)の発行②物価の安定③金融システムの安定です。
また、一般の銀行(市中銀行)とは以下の点で異なります。
・お札を発行する「発券銀行」であること
・民間の金融機関から預金を預かり、金融機関に貸出を行う「銀行の銀行」であること
・国のお金の出し入れなどを行う「政府の銀行」であること
日本銀行が行う金融政策
金融政策とは、日本銀行が物価を安定させるために行う政策のことです。
たとえば、景気が悪くなってモノが売れなくなり、モノの値段(物価)が下がってきたとします。すると日本銀行は、市中銀行などが持っているお金の量を増やし、お金を貸し借りするときの金利が下がるようにします。これにより、会社は銀行からお金を借りやすくなって事業を拡大するなど、経済活動が盛んになり、モノを買う人も増えるため、物価は下がりにくくなります。
逆に、景気がどんどん良くなってモノが売れすぎ、モノの値段(物価)が上がってしまうと、お金を持っていても買えるモノが少なくなってしまいます。そうした心配が出てくると、日本銀行は市中銀行などが持っているお金の量を減らして、金利が上がるようにします。すると、お金が借りにくくなり、会社の生産など経済活動が抑えられ、物価も上がりにくくなります。
公開市場操作(オペレーション)
日本銀行が市中銀行との間で国債を売り買いすることなどによって、金利の水準を調整する方法です。
国債などを買うことを「資金供給オペレーション」といい、世の中に出回るお金の量を増やし、金利を下げる効果があります。逆に国債などを売ることを「資金吸収オペレーション」といい、世の中に出回るお金の量を減らし、金利を上げる効果があります。
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