出光佐三さんと世界文化遺産候補の宗像大社
9/24 読売新聞[編集手帳]より
百田尚樹氏のベストセラー小説「海賊と呼ばれた男」の主人公は出光興産の創業者、出光佐三がモデルと言われる◆日本が終戦を迎えた1945年8月15日の夕刻、主人公が宗像大社の神々に日本民族の加護を願う場面が描かれている。国連教育・科学・文化機構(ユネスコ)の世界文化遺産候補として文化審議会が先日推薦を決めた福岡県の宗像地方に鎮座する神社だ◆天照大神の御子神の3女神が祭られている。玄界灘に浮かぶ沖ノ島と大島にも宗像大社の離れた宮がある。宗像出身の出光は、帰郷して久々に訪ねた神社の老廃ぶりに驚き、神社復興期成会の会長に就任したという◆特に沖ノ島の学術調査に力を入れ、4~9世紀の古代祭祀の跡や8万点にも及ぶ奉納品を発見した。古代ペルシャの工芸品も見つかっている。訪れる人もまれな禁忌の島であるため、古代の姿が残されてきたのだろう◆中国や南方で事業を展開した出光は、「神恩を感じることがしばしばあった」と述懐している。「海賊」と呼ばれた泉下の実業家は、いま新たに脚光を浴びる宗像の3女神をどんな思いで見つめているだろうか。
出光佐三氏
宗像大社は、沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、田島の辺津宮の三社からなる神社で、朝鮮半島に向かう海の道に並ぶ島づたいに位置する神社です。全国で約6400社存在する宗像3女神を祀る神社の総本山です。
宗像3女神については沖津宮 - 田心姫(たごりひめ)・中津宮 - 湍津姫(たぎつひめ)・辺津宮 - 市杵嶋姫(いちきしまひめ)は日本書紀や古事記にも書き示されているほど大和朝廷によって古くから重視された神々です。
島全体がご神体とされる沖ノ島は千数百年前からの祭祀遺跡があり「海の正倉院」とも呼ばれています。
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